王子なドクターに恋をしたら
「あ、怖がらないでね?何もしないから」

あたしが強張った顔で見上げたからか、彼は両手を上げて降参ポーズをした。
怖がってると思ってる彼についぷっと吹き出してしまった。
あたしが固まっていたのはあんまり綺麗な顔があたしを見て微笑んでたから。

「怖がってないですよ?だってあなた立派なお医者さまなんでしょう?そんな人が何かするなんて思ってません」

「あ、そう?僕が医者だって良く分かったね」

「そりゃもちろん。巷ではあなたの噂でもちきりですよ?ハーフのイケメン先生が来たって」

「ははっ、やっぱりそうなんだ。まさかこんなに騒がれるとは思わなかったよ」

首を掻き掻き眉尻を下げた。
困った顔は意外にかわいいななんて思いながら、病院も凄い人らしいですねと言ったら、僕は見世物じゃないんだけどね、とちょっと呆れた顔をする。

よかった、行かなくて。
内心ほっとして、きっとほとぼりが冷めればみんな静かになりますよと言うと、そうかな?と嬉しそうに微笑んだ。
やっぱ、笑顔が素敵な人だ。
こんな先生が居たらたちどころに病気も治りそう。
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