王子なドクターに恋をしたら
そして、一ヶ月後。
リフォームされてキレイになった家には家具や生活道具も揃えられ準備万端。
あたし主導で家具は選んだけどちゃんと和泉くんの意見も聞いてベージュと白を基調に黄色や緑をアクセントにした落ち着いたインテリアになったと思う。

なのにあたしは落ち着かずソワソワしながら和泉くんを待っていた。
カチャンと鍵が開く音がしてリビングを飛び出していく。

「おかえりなさい!和泉くん!」

「ちゆ!…ただいま」

あたしの姿を見た途端甘い笑顔になった和泉くんに抱き着いた。

「ちゆにおかえりって言ってもらえるなんて嬉しいな」

大きなキャリーバッグを傍らに置いてあたしを熱く抱き締めキスを交わす。
久しぶりの蕩ける唇にあたしは早くもトロトロに溶かされた。

「いい匂いがする…」

フッと離れた時に鼻をスンと鳴らし漂う匂いを嗅いでいた。
ぽやーっとしていたあたしは思い出したようにハッとする。

「あ、来るのは6時くらいって言ってたから、夕食作って待ってたんだ」

「…ちゆが作ったの?」

「そ、そうだよ?」

ガバッとあたしの身体を剥がしてまじまじ見てくるからもしかして要らなかったのかと不安になった。
ここにいる間はあたしがごはんを作ろうと頑張ったつもりなんだけど…。

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