王子なドクターに恋をしたら
「そうか…一緒に住むって事はそういう特典もあるわけだ」

「ん?」

「ちゆの手料理が食べれるなんて幸せだなあ!お腹空いちゃったよ。早く食べよう!」

和泉くんは無邪気に笑ってグイグイあたしの背中を押してリビングに入っていく。
押されるがままのあたしはニコニコ顔の和泉くんを振り返って思わず吹き出してしまった。
無邪気に笑う和泉くんが可愛くて作って良かったと嬉しくなる。
早く早くと急かされるまま真新しいダイニングテーブルに料理を並べて和泉くんのお向かいに座っていただきますと言った。

「うん!美味しい!ちゆは料理が上手なんだね」

「普通だよ普通。大したものは作ってないよ?」

食べる度に大絶賛する和泉くんにあたしは照れくさいやら恥ずかしいやら。
だって今日のおかずは純和風の鮭の塩焼きに冷しゃぶサラダにわかめの味噌汁、それと筑前煮。
母直伝の筑前煮は手間がかかってるけど他は簡単お手軽な料理だけに気後れしちゃう。
なんかハードル上げられちゃってるみたいで明日から何作ったらいいんだろうって思った。

「ちゆの愛情が籠もってたらただのトーストだって美味しく感じるよ。そんな困った顔しないでよね?」

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