王子なドクターに恋をしたら
あたしの心情に気付いたのか和泉くんが柔らかく笑ってそう言ってくれた。
なのにあたしは照れ隠しに可愛くないことを言ってしまった。

「それって美味しくなくても美味しいって言うよって言ってるものじゃない？」

「え？勘ぐり過ぎだよ、ちゆは僕の言葉が信じられない？」

「え！？う…ううん、そんなことない」

殊の外和泉くんが真剣に聞いてくるものだからあたしは即座に首を横に振った。
和泉くんを信じられないんじゃなくてあたしの料理の自信がないんだけどな。

「じゃあ信じてよ。僕はちゆに嘘なんかつかないよ？」

「う、うん…」

にっこり笑顔なのになぜか有無も言わさない迫力があってあたしは思わず目をぱちくりさせた。
和泉くんって時々押しの強い時がある。でもそれは決まってあたしが素直じゃない時に発揮される。既にあたしの性格を把握されてるみたいでちょっと気恥ずかしい。
そんなあたしに構わず和泉くんはおかわりを催促。スレンダーな体躯なのに以外とよく食べる。

食事を終えてお腹いっぱい！と満足顔の和泉くんはリフォームして家具が入った自分の家を興味深く見て回った。
思ってた以上に素敵になったねとインテリアを見て喜んでくれて良かった。

< 115 / 317 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop