王子なドクターに恋をしたら
でも和泉くんはあたしとのこと話さないと約束してたから止めに入るのは如何なものかと悩んでハラハラしてたらしい。

和泉くんは「あの中でちゆが一番可愛かったのは認めるけど面白くない」と恥ずかしい事を平然と言って口を尖らせて拗ねていた。
意外で驚いたけど、その顔が可愛くてクスクス笑いながら「ヤキモチ妬いてたの?」と聞くと、和泉くんは不機嫌なままあたしに噛み付くようにキスをした。

息苦しくなるほど激しいキスにクラクラする。
かくっと力が抜けて唇が離れると熱い吐息が頬に当たった。
空気を取り込みたくて肩で息をしていると苦しげな声で和泉くんが言った。

「……それだけじゃない。ちゆの同級生…」

「…え?」

「ちゆの横に張り付いて仲良さそうにしてた…」

そう言われて逡巡して思い出したのは二次会でずっと隣にいた大野のこと。

「あ〜…大野?高校の同級生なんだけど、仲良さそうに見えたかな?」

「うん…もう、ちゆの同級生にも僕の同僚にも騒がれようがどうしようがちゆは僕のだと言いたかった。だから見せつけたくて帰りみんなが驚くのも承知でちゆを連れ出したんだ」

それだけじゃ膨れてしまった嫉妬心は収まらなくて帰った途端ちゆを抱いてしまった、だからごめん…。と和泉くんは言う。
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