王子なドクターに恋をしたら
一瞬しゅんとしたかに見えたけど、瞳はメラメラと燃え立つような強い光を放ち、あたしは魅入られてしまった。
これが独占欲というものなのだろうか?
初めて見るその怒りに似た表情にあたしはゾクリと震えた。
怖いわけじゃない。
そこまで想ってくれてるなんて逆に嬉しくて、あたしは和泉くんに抱き着いた。

「和泉くんがそう言ってくれるなんて嬉しい。誰が来たって関係ない、あたしが好きなのは和泉くんだけだよ?」

そう言うと和泉くんの表情は和らぎ優しいキスをくれた。
見つめ合えばそのブルーの瞳から燃え上がるような色気に当てられあたしはその熱に飲み込まれ蕩けていった。

……



うふふふふ〜…

「ヤダなに?思い出し笑い?千雪のエッチ」

「へぇっ!ち、違うから!」

あの時の情熱的な和泉くんを思い出してたら、明日美に図星を突かれ我に帰った。

そうそう、今は明日美とおしゃべりしてたんだ。

これ以上あたしと和泉くんとのことを洗いざらい言うのはさすがに引かれそうだ。
惚気話は控えめにしておこう。

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