王子なドクターに恋をしたら

「いらっしゃい。ちょうどお花頼もうと思ってたのよ」

「おじゃまします…」

あたしは院長先生のお宅におじゃました。
お花とケーキを持って。
無くてもいいんだけど何かきっかけがないと行けない気がした。

優しい笑顔で出迎えてくれた聡子さんがお茶を淹れてくれる間にあたしはお花を花瓶に活けていつも飾られるテーブルの上に置く。

「今日のお花もきれいね。今日はオレンジがメインカラーなのね。千雪さんの選んでくれるお花はいつもとっても素敵。お家が華やぐわ」

「へへ…ありがとうございます」

「さあ、お茶にしましょう」と、いつものようにソファーに座り優雅に紅茶を飲んでる聡子さんをチラチラ見ながらいつ話を切り出そうか考えていた。

「千雪さん、あの噂聞いたんでしょ」

「えっ!?」

驚くあたしを見て聡子さんはふふっと笑ってカップを置いた。

「いつもより元気無いから。きっと和泉さんのこと聞いたのだと思ったわ」

「はは…わかりやすかったですかあたし」

なんともバツが悪い。恥ずかしくて乾いた笑いが出てくる。

「まあねえ…でも心配しないで?病院に広まってる噂は全部嘘だから。和泉さんには千雪さんという恋人はいても妻子はいないことは私達が保証する」

「そうですか…」

「主人もそんな音も歯もない噂流したの誰だ〜!って怒ってたんだから!」って院長先生の口真似をしながら迷惑な話よねえと怒ってる聡子さんに肩の力が抜けた。


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