王子なドクターに恋をしたら
「お、お目が高いなお嬢ちゃん、これは今年の俺の自信作だ」
得意げに笑う斗真さんの笑顔は陽だまりのように温かい。
あたしってわかりやす過ぎ?二人から温かい目で見られてあたしはなんだか恥ずかしくなって顔が熱い。
って言うか、斗真さんあたしの事お嬢ちゃんって言った?
お子様扱いに上目使いで睨むと気が付いたのか斗真さんの笑顔は苦笑いに変わった。
お菓子を買ったらいくつかおまけをしてくれた斗真さんに別れを告げてまた手を繋いで桜並木を横目に和泉くんとお兄さんが住んでるレジデンスに向かった。
ホテルのように豪華でコンシェルジュが常駐してる広いロビーを通り大きなエレベーターに乗った。
圧倒されてる間に着いた先は最上階のお兄さんの部屋。
「おかえりなさい、遅かったわね」
出迎えてくれたのは聡子さん。
和泉くんがちょっとお菓子を買いに言ってましたと、お菓子の入った袋を渡した。
「あら、お菓子買うために行ってたの。気が利くわねぇ、ありがとう」
ホクホク顔で受け取った聡子さんはあたしにニコリと笑うと先に奥へと入って行った。
もしかして和泉くん、あたしが逃げ出した理由をお菓子を買いに行ったことにしてくれたのかしら?
和泉くんを見上げればにこりと笑ってポンポン頭を撫でて先を行った。
きっとそうなんだと、あたしはその気遣いに心があったかくなった。