王子なドクターに恋をしたら

恋人に触れられないってありえなくない？

聡子さんはこのままお兄さんのお宅に泊まることになるけど、あたしは…。

「じゃあ、そろそろ僕たちは帰るよ。千雪、行くよ」

「あ、うん…」

あたしはどこに泊まれば？と思ったけど、当然のように和泉くんはあたしの荷物を持って連れ出した。
和泉くんの部屋は一階下。
初めて訪れる和泉くんの本当の家は、一人暮らしには広すぎるくらいの３LDKで、モノクロに統一されたモデルルームのような部屋だった。

綺麗にしてるというより、使っていないと言った方が合ってそう。
斗浦部の家はあたしの意見でウッド調のナチュラルな雰囲気だからあまりの違いにちょっと戸惑う。
本当の和泉くんはこういう洗練された雰囲気の方が好きなのかしら？

「疲れただろ？先にお風呂入るといいよ」

「…うん、ありがとう」

バスルームに案内されて、洗面台にタオルが無造作に置かれていて生活感が感じられて少しホッとした。
和泉くんはいつもタオルをタオル掛けに掛けないでぽいとそこら辺に置いてしまうのだ。

いつも「もうまた！」と文句を言っていたけど、懐かしくなってそれをたたんで脇にそっと置いた。

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