王子なドクターに恋をしたら
・・・・


というか、何、エッチなこと考えてんのよ、はしたない!

あたしはまだ和泉くんに聞きたいことがあるから今抱き合ったりしたらダメじゃない。
まずはあたしにとってうやむやにできない問題を解決しなくては。
籠った熱を吐き出すようにふうっと大きく息を吐いてあたしはリビングのソファーで和泉くんを待った。
ほどなくしてお風呂から上がった和泉くんはタオルで頭を拭きながら冷蔵庫からミネラルウォーターを二本取出しあたしに一本渡すと隣に座った。

ありがとうと受け取ったボトルを開けると二人同時にゴクゴクと飲んでぷはっと息を吐く。
その後は暫し無言でなんて話したらいいんだろうと頭を悩ませた。

「ちゆ、怒ってる?」

「え?」

和泉くんを見たら怒られた子供のようにじっと上目使いであたしを見ていて目を瞬かせる。

「斗浦部には何度か行っているけど、ちゆに逢いに行かなかったこと」

「和泉くんはあたしが怒ってると思ってるんだ」

「まあ…内緒にしてたし、意図的に逢いには行かなかったから」

困ったような顔をして笑った和泉くんにあたしはショックを受けた。
やっぱり意図的に逢いに来なかったんだ。


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