王子なドクターに恋をしたら
「それは…上司に言われたから?自分の意思?」

「…両方。聡子さんに、多少なりとも僕の事情をちゆに話したことは聞いてるよ。そのせいで不安にさせてしまってることも。ごめんちゆ、泣かせたことも不安にさせたことも全部僕が不甲斐ないせいだ」

落ち込むように頭をもたげくしゃくしゃと髪を掻き上げた和泉くんは全てを打ち明けてくれた。

元々、斗浦部に通うことを快く思っていない上司に彼女がいることを知られ、散々嫌味を言われたらしい。
その中で和泉くんが一番打撃を受けたのが…

「彼女の身体目当てにわざわざ斗浦部に通ってるのかと言われて…」

「へえっ!?」

口元を押さえ言いにくそうに言った和泉くんはほのかに顔が赤い。
あたしまで釣られてかあっと赤面してしまった。

パワハラ上司ってば!なんてこと言ってくれるのよ!セクハラだわっ!

「でも、僕も思い当たるフシはあるからそんなことは無いなんて言えないくて…」

「え?なんで…」

まさか和泉くんはあたしの身体目当てだったの?
あたしそんなわざわざ飛行機で3時間もかかる距離を通ってでも抱きたいような身体じゃないわよ!?つい自分の胸を押さえまじまじ見てしまってた。

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