王子なドクターに恋をしたら
「昨日は世話になったね。寝不足じゃないか?」

「い、いえいえ。あたしはゆっくり寝ましたから。和泉くんが朝早くお仕事に行ってしまったみたいで…和泉くんの方が寝不足だと思います」

「あいつはいつもの事だから心配ないさ」

話を振られてあたしはおずおずと椅子に座りながら和泉くんを心配した。
お兄さんはそんなの日常茶飯事だと笑う。
やっぱりこっちだと寝る暇もないほど忙しいのか。
斗浦部にいた時はゆったりしたシフトで睡眠時間もしっかりとれてたと思うだけに過酷なんだなと改めて大変だなあと思う。

「ちゅう~」

「來翔くんこんにちは。ご機嫌だねえ」

來翔くんがベッドからあたしに手を伸ばして来たから抱っこした。
お父さんとお母さんがいるからか來翔くんはとってもご機嫌でちょっとくすぐっただけできゃっきゃと笑い声を上げる。

「來翔はすっかり懐いてるな。叶が言った通り和泉が嫉妬するのも頷ける」

「え?そんな事ありませんよ。和泉くんの來翔くんの可愛がりようはあたしの方が嫉妬するくらいですし…」

と、言いかけてあたしは何を言ってるんだと口を噤んだ。
赤ちゃん相手に嫉妬とか恥ずかしいし、和泉くんがそんなこと思うわけないじゃない。

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