王子なドクターに恋をしたら
あたしのことをハッキリ彼女だと言って守ってくれたことは良しとしよう。
正直曖昧に誤魔化されるのかと思った。
あのパワハラ上司の前でも和泉くんはあたしを彼女だとはっきり言ってくれた。
それはものすごく嬉しい。
嬉しいんだけど…。

それにしても彼女達は初対面のあたしに失礼過ぎた。
あたしが彼女じゃだめなのか!?
そりゃまあ、どこからどう見てもイケメンで王子様のように素敵な和泉くんの彼女がちんちくりんのあたしだというのが納得出来ないのはわかるけども!
(あ、自分で言ってて悲しくなるな…)
でも、そんなこと本人に言わなくても良くない?

それに相馬先生って誰よ!

「ねえ和泉くん、相馬先生って誰?」

「え?え〜っと、同僚の医者だけど?」

珍しく一瞬狼狽えた和泉くんをジロリと睨む。

「女の人?」

「…うん」

やっぱり。
女の勘が働いた。
きっと和泉くんの元カノだ。それをあの看護師さんたちも知っているということだ。
でも、あえてそのことを聞き出そうとはしなかった。
聞いて、認められたらさすがに冷静でいられない。

女医さんと言うことは、和泉くんの彼女と誰もが認める知的で非の打ち所のない美人な人なんだろうな。
今日すれ違った女医さんみたいに…あたしとは月とすっぽんだ。
想像するだけで惨めになる。
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