王子なドクターに恋をしたら


「千雪さんいらっしゃい」

翌日、あたしは叶ちゃんのお宅に赴いた。
玄関先で出迎えてくれた聡子さん。

「叶さん順調で明日には退院できそうよ。今日もお見舞い行くでしょ、ちょっと待っててね」

「あ、あの…」

ん?と振り返る聡子さんにあたしはへへっと笑って見せる。

「今日ちょっと、用事がありまして…」

「あらそうなの?」

「叶ちゃんによろしく言っておいてください。それと…お兄さんに素敵なプレゼントありがとうございますと伝えてもらえると嬉しいんですが」

「プレゼント?」

「はい、そう伝えてくれればわかると思いますので」

「そう、直接言えばいいのに」

直接言った方が流星さんも嬉しいと思うけど?と言う聡子さんにあたしは言い訳がましい事を言う。

「えっと…お兄さん綺麗過ぎて近寄りがたいというか…ちょっと照れくさくて」

「あらまあ…」

まあ確かに、流星さんは男性にしては綺麗な人よねえとクスクス笑う聡子さんは、わかったわと頷いてくれた。

お兄さん近寄りがたいなんて言ってごめんなさい。ほんとはそんな事思ってません。
神々しいとは思いますけど。

「……」

玄関の扉を閉めてふっとため息が漏れ、踵を返したあたしはとぼとぼと歩き出した。

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