王子なドクターに恋をしたら
「お嬢ちゃんはいつまであいつを待つつもりだ?」

「なんでそんなこと聞くんですか?」

「あいついつ帰って来るかわからないだろう?帰って来てもまた離れ離れだ。若いみそらであいつに義理立てして待ってなくてもお嬢ちゃん美人なんだから周りの男がほっとかないだろう」

何言ってんだこの人は。
あたしはぽかんと黒崎先生の顔を見ていた。

まあ確かに、なぜだかあたしは男の人に声を掛けられることが多くなった。
モテキ到来か?とも思ったけど病院関係の人が多く何故だと思っていたら、明日美の結婚式で一度声を掛けてきた人達だった。
全然覚えてなかったけど、その人達はあたしが和泉くんの彼女と知ってるくせに和泉くんがいない内にちょっかいかけてみようだなんて悪戯心でやってるに違いない。
あたしは相手にしないことに決めている。

おまけに高校から友達の大野にまで昔から好きだったと告白されてしまった。
「まさか、うそでしょ?」
「嘘じゃない。俺、地方に就職決まってたし遠恋なんて絶対できないと思ったから告白はしなかった。けど、やっぱ松本のこと好きだわ。遠くにいる彼氏なんてやめて俺にしない?」
軽~く、チャラ~く言われてあたしの視線は冷たくなる。
「あり得ない。大野と付き合うなんて絶対無い!」
「…だよな~」
ちょっと言ってみただけ、すっきりしたわ。と言って大野は去って行った。
何なんだあれは、からかうにしてもほどがある。
< 252 / 317 >

この作品をシェア

pagetop