王子なドクターに恋をしたら

戻って早々、叔父が腰を痛めて動けないと叔父の親友でもある院長に連絡が行き、ヘルプとして僕に白羽の矢が当たった。

斗浦部に行く前に紘子さんと再会し話をした。
紘子さんは今でも誰とも付き合わず僕を待っていてくれた。
少しだけ、嬉しいと思ったのも事実だけど、僕にはもう紘子さんに対する気持ちは残っていなかった。
求めるような瞳を向けられても「ごめん」と、謝るしかできない。
苦い気持ちのまま、僕は斗浦部へ飛んだ。

叔父の清春さんは腰が痛くて動けないとは言っていたけど案外元気で安心した。
挨拶と引継を終え斗浦部総合病院で勤め始めて一週間ほど経った頃。
斗浦部は子供の頃遊びに来た以来久しぶりで、仕事帰り懐かしいあの展望台に行ってみようかと思い立ち、そして、千雪と出合った。