王子なドクターに恋をしたら
晴れて斗浦部に通えることが決まりいつ千雪に打ち明けようかと考えた。
毎月会えるよと言った時の千雪の喜ぶ姿を思い浮かべて逢いたさに心が募る。
今すぐ抱きしめたい。

そして、7月の終わりに休暇を取り千雪と逢えることになった。
斗浦部にいる間に病院にも寄って通う手続きもして、どこか部屋を借りよう。
斗浦部にいる間は千雪と二人誰にも邪魔されることなく過ごしたい。
想いが募る中、その日はやってきた。
病院で手続きを済ませ帰ろうとしてた時の事、火事があったとかで救急車が何台か病院へ向かっていると連絡が入った。

「重傷者もいるようだ、和泉、すまないが手伝ってくれないか?」

叔父の院長の言葉に咄嗟に頷く。
待ってるだろう千雪の事が頭を過ぎったけど、一刻を争う今は電話をする時間も惜しい。
僕は走りながら千雪を頭の片隅に押しやり患者を救うことを優先した。

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