王子なドクターに恋をしたら
手術が無事終わりその足で千雪を迎えに行った。
まさかまだ展望台にいるなんて、様子もおかしかった。
焦りを抑えつつ展望台に昇って倒れている千雪を発見した時には心臓が止まるかと思った。
目を覚ました千雪に思わず怒鳴り、今はそれどころではないと気を静めるように息を吐いた。
急いで車に乗せ千雪の実家に行き、痛い視線を向けるお父さんを横目に千雪をベッドに寝かせた。
千雪をこんな目に合せてしまったことに罪悪感が胸を巣食う。
医者である僕を信用して任せてくれたお母さんが唯一の救いだ。

目を覚ませた千雪を診察して注射を怖がる彼女に有無も言わせずサッと終わらせた。
痛くなかったと目を丸くする千雪にイケない気持ちが込み上げる。
今すぐキスしたい抱きしめたい。
「あたしも…して欲しいって、思ったよ…」
顔を真っ赤にしてかわいい事を言う千雪に箍が外れ、いつにも増して千雪の熱い吐息が僕の理性を失くしていった。

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