王子なドクターに恋をしたら
気を失うように眠ってしまった千雪の頭を何度も撫でて部屋を出た。

「今日はすいませんでした」

ご両親に声を掛け、平身低頭謝った。
渋い顔のお父さんは黙ったまま。お母さんが遠慮がちに僕に尋ねる。

「それは、いいんだけど。前々から聞きたかったんだけど先生は千雪とどういう関係なの?」

「…真剣に、お付き合いさせていただいてます」

「やっぱりそうなの…」

増々鋭い視線を向けるお父さんと目が合った。
お母さんも曖昧な笑みで僕を見る。
遠距離な上に僕に付いてまわる噂も聞いてるはずだ心配するのも無理はない。

「ご両親には心配をかけてしまうかもしれませんが、遠距離で寂しい思いをさせてしまうけど愛する気持ちは強いですから。それに、来月から毎月こちらの病院に通うことが決まりました。だから毎月逢えます。どうか、僕と千雪さんの事認めてもらえませんか?」

真剣に訴えると「まあ毎月?それなら千雪も喜ぶわね」とお母さんは喜んでくれた。

「千雪を泣かせたら承知しない、それは肝に銘じておいてくれ」

「勿論です。絶対に泣かせるようなことはしません」

お父さんも渋々ながら頷いてくれた。
千雪には僕が斗浦部に通うことを内緒にしておいてほしいとお願いして毎日診察に来ますと言ってその日は帰った。

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