王子なドクターに恋をしたら
その日は、あたしが時々お店を気にしてたからか、閉店する前に帰った。

和泉くんも気にしてたようでお店はあたしが居なくても大丈夫だったとお母さんに言われてホッとしてた。
そして閉店作業の片づけを手伝ってくれた和泉くんのおかげであっという間に閉店作業は終わった。

お母さんがお礼に夕食を食べてってと言ったけど遠慮した和泉くんは帰って行った。

お父さんは無表情で何考えてるのか分からないけど、お母さんはいい人ね、って和泉くんの事をとっても気に入ってた様子。

それからあたしたちは毎日のように逢っていた。
一緒に夜の散歩に出たり、居酒屋漁児でご飯食べたり、和泉くんの夜勤の時には出勤前にあたしの顔を見るだけに来たこともある。
毎日電話も欠かさない。
これって、もう、付き合ってる恋人同士みたい。

あたしは嬉しくて幸せ、だけど、和泉くんはどう思ってるのか分からない。
好意はあると思う、けど、告白めいたことは何もない。
あたしから、好きって言っていいものか?
でも、出来れば和泉くんがら告白してほしいって思うのは贅沢かな?
待ってた方がいいのか自分から言った方がいいのか、ああ悩ましい。

「千雪、お邪魔するわよ!」

浮かれた悩みを抱えてた時に、家に乗り込んできたのは、明日美。
はっ、すっかり明日美の事忘れてた!
何だか怒ってる様子の明日美に何を言われるのか見当がついた。

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