王子なドクターに恋をしたら
やっぱり、こっそり見に行ってみようかな、と思ってた時、明日美のトーンが急に低くなった。

「でもね、最近気づいたことがあるの」

「え?なに?」

「高槻先生って、いっつも笑顔なんだけど、人を寄せ付けないって言うか、笑顔で牽制してるところがあるんだよね。近寄り難くて興味本位に近付くと凍りつきそうって感じ」

「へ、へえ…」

笑顔で牽制?凍りつきそう?
あたしの知ってる和泉くんからは想像できなくってイマイチ理解できなかった。

和泉くんはいつも笑顔なのはわかるけど近寄りがたいなんて思ったことないし、あの優しいブルーの瞳に見つめられるとあったかい気持ちになるのに。

「だから熱を上げてた看護師たちも、ただ見物に来てた迷惑な人達も近付いちゃいけないって悟ったらしいよ。今じゃ前に戻ったように病院内が静かだもの」

「へえ、そうなんだ」

和泉くんの周りが静かになったと聞いて安心した。
ずっと騒がれていたら和泉くんが仕事し辛くて可哀そうだ。


明日美とはいろいろ話して何か困ったことがあったら相談してよねと、和泉くんとのことを何も言わなかったあたしにチクリと言って帰って行った。

ごめん明日美、でもほんとにありがとう。
あたしの気持ちを考えて認めてくれて本当に優しい親友だよ。
今度から何でも相談するよ、恋の先輩としてこれからもよろしくね。
心の中で明日美に感謝した。
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