王子なドクターに恋をしたら
「千雪の全てが欲しい」

「い…和泉くん…」

獲物を捕らえるような強い瞳に射すくめられあたしは全身に熱が籠る。

自信がないなんて言ってられない、男の色香を漂わせた和泉くんに抗うことなんて出来ない。
あたしも、和泉くんの全てが欲しい。
自分の中にこんな欲望があるなんて初めて知った。

火のついたあたしはオカシイ。
いつものあたしなら絶対できないのに自分から和泉くんにキスをした。

和泉くんの唇は媚薬だ。
キスをする度甘くて気持ちよくてヤミツキになる。
ちゅっちゅっとキスをしてると頭の後ろに手が回されキスが濃厚になった。
舌が重なり強く吸われてまた身体が震えた。

キスに夢中になっていたら腰ひもが緩められハッとした。
身体を起した隙に浴衣を暴かれあたしの素肌が晒される。
あたしは恥ずかしくて咄嗟に腕で隠した。

「…下着、付けてないんだね」

「あ、いや、これは…寝るときはいつもこうなの…」

「僕とこうなること期待してたんじゃなくて?」

「あ、う…」

あたしの言い訳は見透かされてた。
言葉に詰まるとにやりと妖艶に笑った和泉くんはあたしの腕を掴み自分の首に巻き付けまたキスをする。

「ん…」

素肌をなぞる熱い手に刺激され鼻から抜けるような甘い声が漏れた。
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