王子なドクターに恋をしたら
遠距離でもいいから和泉くんの恋人になりたい。
それを選んだのはあたしだし、明日美を羨む資格はあたしにはないよね。

「もう、そこでしょぼくれんな！あたしが苛めてるみたいじゃない！これでも心配してるんだからね！」

「うん、わかってるよ」

あたしが元気がないと明日美はいつも励ましてくれる。
だからついつい甘えてしまって弱音を吐いてしまうんだ。
明日美にしたら迷惑極まりないよね。

「それに…ああ！やっぱ今日は言うのやめよう」

明日美がぶつぶつと独り言を言ってるのをあたしは聞き逃さなかった。

「なに？何か言いたいことがあったの？」

「あ～いや、まあ、今日はいいや、また今度ね」

「え？気になるな、言ってよ。あたしに関わること？いっつもあたしの愚痴を聞いてもらってるから愚痴でもお叱りでも何でも聞くよ？」

「いや、そうじゃなくて…でも今の千雪に言ったらますます落ち込みそう…」

何でも言いたがりの明日美にしたらやけに言い淀むからあたしは身を乗り出して言い募った。

「あたしが落ち込んだっていいからちゃんと言って！話してくれない明日美にあたし落ち込んじゃうよ？」

ん？ん？と明日美の顔を覗き込んだら目を泳がせ顔を赤らめ口をパクパクさせてるから、なんだ？と思ったらやっと明日美は話し出した。

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