王子なドクターに恋をしたら
あたしを抱きしめ頭を撫でながら後悔している和泉くんにあたしは必死で首を振った。

「ううん、あたしもちょっとは寂しいって気持ち出せばよかった。全然平気なんて言ったらやっぱり逢いたくないのかなとか疑っちゃうよね」

「…千雪は優しいね、こんな僕をもっと責めてもいいのに、僕を甘やかしてくれるんだから」

「そんなことないよ、和泉くんはあたしのことを想って忙しいのにこうやって逢いに来てくれたじゃない。和泉くんの方がよっぽど甘いよ」

「僕はただ、逢いたかったんだ。千雪に触れたくて仕方なかった」

「和泉くん」

顔を上げれば真剣な瞳があたしを見下ろし優しく頬を撫でられる。
和泉くんの綺麗なブルーの瞳をまた見つめることが出来てあたしは感無量だった。

「千雪…」

しっとりと重なる唇は甘くて柔らかくてやっぱり病みつきになる媚薬。
存在を確かめるように何度も合わさり貪るキスにあたし達は溺れていった。

< 64 / 317 >

この作品をシェア

pagetop