王子なドクターに恋をしたら
なんでこうなっちゃうかな?
和泉くんが来るまであと数日に迫っていたある日。
あたしは今日もご機嫌でせっせと仕事をしていた。
今は結婚式のブーケを作成中。
今時の結婚式では造花が主流だけどこうやって時々生花のブーケを所望される。
あたしのフラワーアレンジはそこそこ人気があるんだよ、これが。
依頼主の新婦の竹原さまはあたしのイメージ図をとても気に入ってくれて楽しみにしてくれている。
あたしは鼻歌を歌いながら花を選び、幸せにと心を籠めてブーケを作っていた。
「いいなぁ、結婚式。あたしもいつか…むふふ…」
いつの間にか思い浮かべていた依頼主の新郎新婦の顔があたしと和泉くんにすり替わり、ウェディングドレスを着て自分で作ったブーケを持って笑顔で待ってる和泉くんの元に歩み寄る。
…なんてのを想像して思わずにやけてしまった。
「よう、何ニヤケてんだ?」
「はっ!?…あ、大野!」
いつの間にか店に来て声を掛けてきたのは高校の同級生だった大野成明。
この間明日美たちと集まって同窓会をした仲間の一人だ。
大野は地方に就職してたけど転勤でこっちに帰って来たそうで、それで久々に皆で集まろうかと同窓会が開かれた。
高校時代のあたしたちは男女関係なくとても仲が良かった。
遊びも勉強もいつも一緒で楽しい思い出がいっぱい詰まった高校時代を思い出す。