王子なドクターに恋をしたら
「……お前さ、遠距離恋愛してる彼氏がいるって言ってただろ?」

「え!?なに?急に」

何を思い出してたのか気付いたのだろうか?
急に彼氏の話を持ち出してきた大野にアタフタする。

「いつでも会えない彼氏なんて付き合ってるって言えるの?」

「は?なにそれ。あたしたちはちゃんと付き合ってるよ。毎日電話やメールしてるし!」

突然何を言いだすのか?あたしと和泉くんの付き合いに文句を言われてムッとした。
でも大野は気遣わしげにあたしを見てくる。

「寂しくないわけ?」

「そりゃ寂しいけど…でももうすぐ逢えるし。何で大野がそんなこと聞いてくるわけ?」

「いや…俺は遠距離恋愛なんて考えられなかったから。側にいないのに付き合っていけるのかなと思って」

「ん?大野は向こうに置いて来た彼女でもいるわけ?」

大野は就職先で付き合ってた彼女と転勤を機に別れてきたのかと思って聞いたけど、そんなんじゃないって言う。じゃあ何?って聞いたけど応えてくれなかった。

「あっち、行こうぜ。よく行ってた釣りスポットどうなってるか見たい」

大野は話を逸らすように岩場のある方を指さした。
そこは釣り好きには有名な釣りスポット。
高校の頃は釣好きな男子達に付き合ってよく行ったものだ。
今はサッパリいかなくなったけど。

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