王子なドクターに恋をしたら
岩場はごつごつしてて足場が悪い。
ちょっと大きな岩の向こうが魚が集まる釣りスポットになっていてあたしは手を貸してもらわないと登れない。
ほら、と、高校の時のように先に上がった大野の手を取って引き上げてもらった。

「ありがと。あっ、わあ、全然変わってないね」

「ああ、久しぶりだなぁ」

岩の上に二人で立って辺りを見回すと高校時代と何も変わってない景色が広がる。
今日は誰も釣りをしてる人はいなくて波がザパンと打ち寄せていた。

懐かしくなってちょっと海辺まで降りてみようかと行ってみたのが間違いだった。
海が澄んでる時には魚の背がはっきり見える時もあるので波しぶきが上がる側まで行って魚は見えないかと覗き込んだ。
けど、今日は少し波が荒いみたいで何も見えない。
残念だと思いながら帰ろうとした時、つるっと足が滑った。

「あっ!!」

「わっ!おい!」

ザッパ~~ンッ!!!

あたしは見事にお尻から海に落ち、助けようと腕を伸ばしてくれた大野も勢い余って海へダイブ!
浅瀬だから沈みはしなかったけど二人ともずぶぬれて顔を見合わせた。

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