王子なドクターに恋をしたら
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斗浦部総合病院は過疎化が進むこの寂れた町には似つかわしくない大きな病院。
なんでも最新機器も積極的に取り入れて最先端医療ができるそうだ。
そして院長先生も優れた医術を持っていて先生頼りに町の人のみならず地方からも患者がやってくるらしい。

病院事情に疎いあたしは明日美情報をぼんやり思い出しながら、3日前に出逢ったあの人を思い出していた。
月明かりだけでもあのイケメンぶりなんだから昼間見たらきっと鼻血ものなんだろうな。
もう一度逢ってみたいな。でも、むりなんだろうなあ〜。

ぼーっと店先を見るといつものおばちゃん連中がせかせか苗を見ながら会話してる。
ここは両親が営む花屋、フラワーショップ・まつ
店を継ぐはずの3個上の兄は地方に就職してしまったので、あたしがこの店を継がなくては!と高校を卒業した後就職はせずこの花屋で働いている。
両親は継がなくてもいいのにって言ってるけど、あたしは花も店も好きだし、この町が好きだ。

小さい町だけど、夏は海水浴、冬はこの町のシンボル斗浦部山でスキーもできる。
水族館やキャンプ場、海沿いに花畑公園と、意外と遊べる所があって観光客が訪れる。
花と海と山、慣れ親しんだ町、好きなものがいっぱい詰まったこの町であたしは一生暮らしていきたいと思ってる。

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