王子なドクターに恋をしたら
目が覚めるともう翌朝で、和泉くんの姿はどこにもなかった。
寂しいと思いながら起き上ると昨日よりだいぶ体が軽い。
やっぱりあの注射が効いたのかな?
そう思いながらリビングに行くとお母さんに薬を渡された。
「はいこれお薬。朝昼晩ちゃんと飲んで休むようにって、和泉先生が」
「あ、うん。和泉先生?」
お母さんが聞き慣れない言い方をするので思わず聞き返した。
夢見るように手を合わせお母さんは浮かれた声顔をする。
「素敵よねえ!あのルックスでお医者様で千雪の恋人!夢の様だわ!」
「なっ!?何言ってるのお母さん!?」
和泉くんと付き合ってることはお母さんたちにはまだ話してなかった。
遠距離恋愛だなんて絶対いい顔しないと思ったから。特にお父さんが。
とバレバレだろうけど、あたしは慌てた。
「何って?昨日和泉先生から千雪とお付き合いさせて頂いてますって丁寧な報告貰ってるわよ?遠距離で寂しい思いをさせてしまうけど愛する気持ちは強いですからなんて言ってたわ!愛されてるわねえ千雪」
うふっと笑うお母さんにあたしは「うそ!」と叫んでしまった。