王子なドクターに恋をしたら
目を泳がせながら横を向き耳を赤くさせてる和泉くんをぽかんと見てしまった。

そしてあたしは、熱を出した時和泉くんの濃厚なキスで眠ってしまったことを思い出す。
和泉くんが何を言いたいのかやっと理解したあたしはじわじわと頬が熱くなっていく。

「やっ!あれは!その…あたしもして欲しかったし…」

「でも、千雪が気を失うまで止められなかった」

「それは!き、気持ちよくなって眠っただけだから…」

言ってて恥ずかしくなった。
無理させちゃうって、そういうこと?
和泉くんがそんなこと思ってたなんてちょっと意外でなんだかムズムズする。
俯くと和泉くんはあたしの頭を引き寄せ撫でてくれた。

和泉くんが何を気にしてるのかなんて考えもしなかったから、あたしは自分のことばかりでちょっと反省した。

そうだよね、あたしだって和泉くんの実家に行って長居はあまりできないと思う。
それが風邪を引いてるのなら尚更親に心配かけちゃうし。

「ごめんね和泉くんの気持ちも気付かないでわがままばかり言って」

「僕の方こそ、千雪に逢いに来てるのに少ししか居れなくて余計に寂しい思いをさせてるよね…」

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