王子なドクターに恋をしたら
繋いでる和泉くんの手がぎゅと握られ緊張感が漂ってくる。
重〜い沈黙の中、その空気を打ち破ったのはお母さんの笑い声だった。
「アッハハッ!和泉先生って意外とそういう事はっきり言うのねえ!いいじゃないお父さん、二人は真剣に付き合ってるって言うし、また暫く逢えなくなるんでしょ?二人の大切な時間を親が奪っちゃいけないわ」
嫌そうな顔をするお父さんの肩をバシバシ叩いてお母さんは笑いすぎて滲んだ涙を拭った。
「…千雪はもう体は大丈夫なのか?」
「う、うん。和泉くんのおかげでもうすっかりいいよ。せっかく来てくれた和泉くんとあたしも一緒に居たいんだ」
不機嫌ながら気遣わしげに聞いてくるお父さんにあたしは元気アピールをした。
「ん…千雪が大丈夫なら…」
渋々だけど許してくれたお父さんにあたしは嬉しくて和泉くんを見上げた。
目が合うとにっこり笑って二人同時にありがとうとお父さんにお礼を言った。