あのときのキスを
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龍はほのかの初恋だったね。

俺はよく知っている。

龍に告白された日、まるで酔っ払いみたいに浮かれていたほのか。

かわいかった。

舞い上がってどこかに飛んでいってしまいそうだった。


抱きとめて押さえ込んでしまいたかったけど、そんなことはできない。

俺は見守るしかないんだ。


でも、見守ることしかできないけど、逆に、お前をずっと見守り続けることができるんだ。

俺は、兄貴だから。

その小さな体で、一生懸命生きる姿を、俺はずっとそばから見ている。

一瞬一瞬ごとに、お前を記憶に焼き付けるんだ。




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