あのときのキスを
あたしはしゃくりあげていた。

花火の爆音が響くのをいいことに、子供のように声を漏らして泣いた。

「泣くな、ほのか」

「うぅぅん。わがった。もう泣かない」

口で言うのは簡単。

でも、涙を止めるのは難しい。

「ほら、わたあめ買ってやっから」

「うん、あと、たごやぎも」

「わかった、たこ焼きも買ってやっから、な」

純也は言って、あたしをぎゅっと抱きしめた。


あたしは純也を見上げた。



神様-。このあったかい体の持ち主は、どうしてお兄ちゃんなんですか。



純也もあたしをじっと見ている。


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