あのときのキスを
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ほのか-

花火の人ごみの中で、俺はどさくさにまぎれて、お前を抱きしめた。

お前の体は、腕に包んでみると思いのほか細かった。

俺の指先の動き一つで形が変わってしまいそうなくらいに、か弱い。

こんな体で、力いっぱい生きているのかと思うと、自然といとおしさを感じてしまう。

ほのか、お前は龍にすっぽかされて、今、どんな思いでここにいるんだろう。

俺にはお前の気持ちを全部はかり知ることはできない。

でも、この小さな体の中が、涙でいっぱいに違いない。

ほのか-。俺に何ができる?

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