あのときのキスを
純也は私の手を引いて、河川敷に向かってぐんぐん歩く。


「純ちゃん、今日、杏ちゃんはいいの?」


純也にはかわいい恋人がいた。

名前は杏。

名前とおんなじ、アプリコットの甘酸っぱい香水をつけていた。

メリハリがあるセクシーな体つきなのに、顔はあどけない。

ダンスが上手な、チアリーディング部のキャプテン。


「うるせぇ、お前には関係ない」

純也はこっちを見ずに答えた。

そんなに怒らなくてもいいのに。




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