嘘恋愛者
5
本格的に一人で過ごす時間が増えてきた。しかしその時間は、藤枝さんを探す時間と言っても過言ではない。つまり、退屈はしていない。むしろ楽しいと言える。
だけど恋を自覚して、藤枝さんに話しかけることすら、緊張してできなくなった。
ただ見かけるだけで満足できるレベル。
幸せのレベルが、だいぶ下がったと思う。だけど不満はない。
藤枝さんのクラスの前を通るとき、教室にいないか探したり。廊下を歩いていて、藤枝さんが向こうから歩いてこないか、変に期待したり。
そうやってこそこそしていたのに、藤枝さんは俺を見つけると、俺のところに駆け寄ってくる。
俺の気も知らないで、藤枝さんは無邪気に笑う。
それだけで俺がどれだけ幸せになっているか、藤枝さんにはわからないだろう。
「なんだか久しぶりだね」
「そうだね」
俺が話すことを避けていたからね。
「知り合ったばっかりなのに、数日会えなかっただけで寂しかったな」
反応に困る。いや、内心かなり喜んでいるけども。それを素直に言うのは恥ずかしい。
というか、この言葉でちょっと期待している自分がいる。
藤枝さんも、俺と同じように思ってくれているような。
だけど恋を自覚して、藤枝さんに話しかけることすら、緊張してできなくなった。
ただ見かけるだけで満足できるレベル。
幸せのレベルが、だいぶ下がったと思う。だけど不満はない。
藤枝さんのクラスの前を通るとき、教室にいないか探したり。廊下を歩いていて、藤枝さんが向こうから歩いてこないか、変に期待したり。
そうやってこそこそしていたのに、藤枝さんは俺を見つけると、俺のところに駆け寄ってくる。
俺の気も知らないで、藤枝さんは無邪気に笑う。
それだけで俺がどれだけ幸せになっているか、藤枝さんにはわからないだろう。
「なんだか久しぶりだね」
「そうだね」
俺が話すことを避けていたからね。
「知り合ったばっかりなのに、数日会えなかっただけで寂しかったな」
反応に困る。いや、内心かなり喜んでいるけども。それを素直に言うのは恥ずかしい。
というか、この言葉でちょっと期待している自分がいる。
藤枝さんも、俺と同じように思ってくれているような。