嘘恋愛者
「綾乃が告白してくるって言ったあと……気になって、こっそり見てた……ので……その……盗み聞きして、ごめんなさい……」
ただでさえ小柄だった藤枝さんが、さらに小さくなる。
つまり、俺たちのあの最低な会話を聞いていたのか。俺は、それも知らずに、藤枝さんに声をかけたのか。
しかしそれを聞いて納得できることがあった。
藤枝さんはあのとき、たしかに俺を睨んだのだ。気のせいなんかではなかった。
友人の気持ちで遊んでいた相手に声をかけられて、いい気はしないだろう。むしろ、怒って当然だ。
というか、謝るのは藤枝さんではない。
俺たちのほうだ。
「……あの」
そう思って声を出すと、綾乃が鋭い視線で俺を見た。
「もしかして謝ろうとしてる? 迷惑なんだけど」
ターゲットにした綾乃に言われ、謝罪の言葉は喉につっかえて出てこなくなった。
奥にいる蒼生も、困った顔をしている。
「柿原が女子で遊び始めたときの子たちは傷ついただろうけど、最近は、誰一人傷ついてない。あんたが調子に乗ってただけ。謝る必要はどこにもないから。てか、謝られても迷惑」
綾乃はそう言い捨てると、藤枝さんを連れて行ってしまった。
俺と蒼生だけが残されたが、お互いなにも言えなかった。
ただでさえ小柄だった藤枝さんが、さらに小さくなる。
つまり、俺たちのあの最低な会話を聞いていたのか。俺は、それも知らずに、藤枝さんに声をかけたのか。
しかしそれを聞いて納得できることがあった。
藤枝さんはあのとき、たしかに俺を睨んだのだ。気のせいなんかではなかった。
友人の気持ちで遊んでいた相手に声をかけられて、いい気はしないだろう。むしろ、怒って当然だ。
というか、謝るのは藤枝さんではない。
俺たちのほうだ。
「……あの」
そう思って声を出すと、綾乃が鋭い視線で俺を見た。
「もしかして謝ろうとしてる? 迷惑なんだけど」
ターゲットにした綾乃に言われ、謝罪の言葉は喉につっかえて出てこなくなった。
奥にいる蒼生も、困った顔をしている。
「柿原が女子で遊び始めたときの子たちは傷ついただろうけど、最近は、誰一人傷ついてない。あんたが調子に乗ってただけ。謝る必要はどこにもないから。てか、謝られても迷惑」
綾乃はそう言い捨てると、藤枝さんを連れて行ってしまった。
俺と蒼生だけが残されたが、お互いなにも言えなかった。