SIREN


 着いた先は、紅蓮の実家でもあり俺らの家。


 漣組


 今最も勢力のある極道で、日本で右に出るものはいない。


 誰もが羨み、恐怖し、平伏すこの組の若頭が紅蓮だった。


 「「「「お疲れ様です!」」」」


 車の外に出ると、組員が声を揃えて言った。


 いつもはその声に反応しない紅蓮だったが、今日は違った。


 「黙れ。吹雪が起きる」


 威圧的な声に、その場は直ぐに鎮まったが、組員全員が目を見開き、紅蓮に抱かれている女の子を凝視していた。


 「その子、吹雪ちゃんっていうの?」


 なるべく小さく言ったつもりだったけれど、吹雪と呼んだのが気に入らなかったのか、先程よりも鋭い眼光を向けてきた。

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