SIREN
「……」
「……」
会話はそこで終わり、長い沈黙が続いた。
「あ、あの……」
居た堪れなくなり、私は声を出した。
「ん?どうした」
優しく微笑んむ彼がとても眩しく見える。
「あの、私もう大丈夫なんで、帰ります。手当て本当にありがとうございました」
そう言った瞬間、彼の眼光が鋭くなった。
「本気か?」
「へ?あ、はい……」
これがヤクザか。そう思わせるほど、空気は重く冷たかった。
「帰る家はあるのか?」
ドキッとした。
どうして知っているんだと聞きたいが、何かが喉につっかえて言葉にならない。