SIREN


 「あんたはいらないから、……あんたがいなければっ!」


 激しさを増していく暴力に、骨が軋むような嫌な音が耳に届いた。


 「産まなきゃ良かった!!」


 遂に言われたか、なんて他人事のように思った。


 「っ……、」


 背中を押されて家の外に出された。

 まだ9月だというのに、私が今来ている中学のセーラー服だけじゃ寒かった。

 パタンとしまった扉の音は、夜の静寂に紛れて消えた。

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