翠玉の監察医 法のあり方
「スウェーデンのスイーツもおいしいから大好きなの。楽しみだわ」

碧子がそう言い、「おいしくできたんですよ」とマルティンが返す。話したり、食べたり、楽しい時間が続いていたのだが、ゼルダが「ちょっとだけニュース見ていい?」と訊ね、リモコンを手に取る。

ゼルダがテレビをつけると、画面には華やかなパーティーの様子が映し出されていた。ゼルダの見たいニュースではない。

「何ですか?これ」

圭介が訊ね、蘭は「西園寺グループ創立百周年記念パーティーと書いてあります」と画面の右上に書かれている文字を読む。碧子が食べながら言った。

「西園寺グループといえば、日本でも指折りの大規模グループじゃない。やっぱり大規模グループはパーティーも違うのね〜」

蘭たちは仕事仲間だけで集まり、リビングで料理を食べながら話しているだけだ。しかし、西園寺グループのものは多くの有名人まで招待され、一流フランス人シェフによるコース料理が振る舞われ、余興として有名なミュージシャンが歌を披露したりしている。
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