ソルティ&ドルチェ
災難だった体育の時間は終わり、昼休み。
弁当を持って一人たたずむ。
「あかりちゃん、ご飯食べよ----」
「私はいいから‼王子とご飯食べてきな‼」
「…辻ちゃん!弁当食べよ?」
「あ、ごめん,私…」
「…宮嶋くん?食べない?」
「プリンスに睨まれたくないし…ごめん、無理だわ」
いっつもこんな感じである。
「なぎさー、いっしょにご飯食べよ?」
でたな、元凶。
でも他に食べる人もいないし…と思い、机を寄せる。
「渚のご飯、いっつも美味しそうだね‼」
「…良かったら、ちょっとあげるけど」
「え、いいの?!」
弁当箱から卵焼きをつまんで、徹の弁当箱の蓋に置く。
はっ、と気がついた。
「別に、お前が好きだからとかじゃないし‼気まぐれ‼」
「うーん、おいしー‼俺、渚が作った卵焼き好き~」
聞いてない。
私はがっくしと肩を落として弁当を食べた。
周りの視線がやや気になるが、気にしないでおこう。
「渚、ミートボールと野菜炒め交換しよ?」
「どうせ玉ねぎが嫌いなだけでしょ?」
「ちぇー、ばれたか‼上手く行くと思ったのに」
「…まあ、貰ってあげないこともないけど。」
「え、いいの?!やったー!」
…そういえば、水のみ場の花瓶、水換えとかなきゃな。
ミートボール1つで喜ぶ幼馴染み片目に、そう思った。
昼休みも特にする事ないしね。