ソルティ&ドルチェ
マロン
部活。
お願いします、と挨拶が体育館に響く。
私と徹は、バレー部に入っている。
私の学校は、男女一緒の部活だ。
「ウォーミングアップ、始め!」
部長の声が体育館全体に響いた。
ウォーミングアップの十周をする。
髪が風になびく。
徹の髪もなびいている。
「格好いいなぁ…」
思わず呟いてしまった。
(ああもう、なんでそんなこと…)
耳まで真っ赤になったような気がした。
ちらりと徹の方を見る。
徹はいつも一番だ。
追い越そうとするが、到底無理だ。
1ゲーム終えて、「休憩部屋」と呼ばれる部屋に入る。
すかさず、部活専用の冷蔵庫を開ける。
青いパッケージの清涼飲料水が、何本かあった。
その清涼飲料水は、触ったら冷たい。
水滴がプラスチックをつたう。
少し飲んだら、徹が来た。
「なんか飲み物なーい?」
「…水筒は?」
「忘れちゃった~」
えへへ、と徹が笑う。
…地味にムカつくな、この笑い。
冷蔵庫の方を見る。
あいにく、他の子がみんな取ってしまっている。
「ん。」
飲みかけのものを、徹にあげた。
徹は顔を赤くしたあと、黙って貰った。
(徹らしくないなぁ)
喉が乾いた、と言っていたにも関わらず、
全然飲んでいない徹を見て思った。
…あ、もしかしてこれ、嫌いだった⁉
でも、嫌いだったっけな。
私だって徹の好きなもの全部覚えてる訳じゃないし。
今度から気を付けよう。