ソルティ&ドルチェ
「短距離アップするぞ!」
「はい」
監督が言う。
100m×5本、200m×3本、500m1本。
順々にこなしていく。
「おーし、休憩入れるぞ!」
私は息を切らしながらベンチに向かった。
ベンチで休んでいると、話が聞こえてきた。
「渚ちゃんってさー、調子のってない?」
「ほーんと。ちょっと王子に気に入られてるだけなのに」
「てかさー、王子とは幼馴染みってだけでしょ」
「王子も嫌々付き合ってあげてるのかもよ」
「しかも鼻、あんな小さいんだよ⁉キモいっしょ」
「見た目もダサいし、いいこちゃんぶってるし」
「いっつもニコニコしてさー、男に媚びてる感じ‼」
やっぱりか。
こんな事なんて日常茶飯事だ。
気にせずいこう。と、思う。
その後も私に対する罵詈雑言が飛び交っていた。
というかニコニコしてるのの何が悪いんだ。
中には、徹への罵倒もあり、聞くに堪えない。
(落ち着け、自分。こういうのは怒ったもの負けだぞ)
それでもさすがに堪えて、涙が出てきた。
徹の悪口を言わないで。
「うわ、あいつこっち見てるし」
「気持ち悪い。」
お前らなんか見もしないよ、自意識過剰が。
涙が止めどなく溢れてくる。
すると、徹が来た。