終わらない恋を、キミと。
3 学校のヒーローとメンタル激弱女子
市立 桜川(おうかわ)高等学校。
古く錆(さび)の入った門をくぐり、昇降口まで小走りで向かい上履きに履き替えるとシンっと静まりかえった廊下を足音に注意して歩くと突き当たりに職員室。そのすぐ手前が保健室だ。
ソソソッと、こそ泥棒のように音を立てずに保健室のドアを少しずつ開いていくと、すぐに保険医がこちらに気付いて、
「あら。薮木さーー」
「結香」
「っっ…!!!」
いきなり背後から名前を呼ばれ悲鳴を上げそうになったのを必死で抑えた。
「結香、学校に来るなら来ると言ってくれ。そうしたら2人で登校出来たのに」
「あのねぇ、あんな状態であのまま碧と登校なんて無理よ」
「…確かに、あのふたりをあんな短い時間で説得するのは無理があるな。…既成事実でも作るか。そしたら誰も文句は言うまい」
「きせっ…!!な、な、な、」
既成事実と言うワードに顔がカッと熱を持つ。
「ほら結香、ちょうど良くここにベッドがあるぞ」
何が「ちょうど良く」だって!?何が!?
そんな碧の誘惑に、わたしだけじゃなく保健室にいる数人の女生徒と保険医さえも顔を赤くしている。