お見合いは未経験
しかし、仕事に入ると柳田は炯が見込むだけあって、教え方も丁寧で、分かりやすかった。
「実際のところは、集客がいちばんのポイントになるかも知れません。」
「なるほど…」

「人数のコントロールが結構難しいです。誰でもかれでも、という訳にもいきませんし。」
「……ですよね。」

「今回はまず、外訪チームに優先的に声掛けてもらいました。」
「確かに、そうですね。」

「人気の講座内容なんです。皆、興味ありますから。でも、なかなか、専門家に聞く機会はないですよね。この際聞いておきたい、と思われる方は多いようです。」

特に、信託の担当者はプロですから、お客様にも喜ばれて、数字に繋がれば、担当者にも喜ばれるので、ウィンウィンですねと、柳田がにこりと笑う。

「特に注意事項とかありますか?」
「調整、が面倒いですかね。」
「調整…」
「はい。結局今回も、3社絡んでますから。」

なるほど、と、答えるが、その辺りは葵も炯が課長だったころ、一番鍛えられた部分だ。

その時、
「お世話になりまーす!」
と声が聞こえた。
炯さんだ!
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