お見合いは未経験
むしろ、これで人慣れていたら、モテすぎて仕方なくなる。
この人見知りだから、今まで誰にも手をつけられなかったんだろう。

今の職場だって、表立ってアプローチして来ないだけで、絶対狙っている奴はいるはずだ。
絶対に誰にも渡さない。
真奈の好みの顔が自分で良かったとすら思う。

「真奈。」
小さい頭をきゅっと胸に抱き寄せる。
真奈の手が遠慮がちに胸の辺りを掴んでいた。

「正式にお願いする。結婚を前提に、僕と付き合って下さい。」
「はい。」

可愛い…。
貴志はつっと真奈の頬に手を寄せ、顔を持ち上げると軽く口づけた。
柔らかくて、気持ちの良い唇だった。

真奈は茫然としている。
「ん?」
「いえ、あの…初めてだったので…。」

ん?
それって…。
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