お見合いは未経験
「寺崎さんと、柳田さんがすごくやって下さってたので。」
「そうなんですか。」
今度は柳田もやって来て、式次第、貼り付けますね。と持っていく。

つい、葵は笑ってしまった。
「葵さん?」
「なんだか、文化祭準備みたいで。」

「言われてみれば。でも、この資料、ざっと先程拝見しましたけど、すごくよく出来てます。オリジナルでしょうか…」
「そうですね。成嶋のオリジナルじゃないかな。寺崎さんに聞いてみましょう。」
講義のための資料は、炯の手作成のはずなのだ。

葵が寺崎に話しかける。
「この、資料って、手作りですか?」
「はい。引っ張ってきたデータは、間違いなく信託から頂いたものなので、数字は恐らく間違っていないはずです。え?まずかったですか?」

「いえ。よく出来た資料ですよね。分かりやすいし。」
「もとは成嶋部長の資料だったのを、講義用にアレンジしました。」

「それって、メールで送って頂いたり、出来ます?」
「お客様に配布しないなら、いいですよ。」
あ、私も欲しいです、と真奈が手をあげ、いいなー僕も下さい!と柳田が交じる。

いつの間にか、成嶋と榊原が入ってきて、様子を確認していたが、二人とも機嫌は良さそうだ。
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