お見合いは未経験
隣のオフィスビルも、榊原トラストの運営しているビルだが、タワーと呼ばれている、その高層ビルは入れる会社も限定されている。

金融関係、法律関係、IT、大手コンサルティング。
入口からかなりセキュリティが厳しく、無関係な人間は一切入れない仕組みだ。
当然その分、賃料は高めなのだが、空室はないという。

最上階のレストランのみは、予約すれば、一般客も入れているという話だが、もちろんタワー利用者が優先だし、おそらく一般にあまり知られている場所ではない。

最上階はレストランのみではなく、会員制のサロンもあり、そこで経営者達が情報交換出来る仕組みになっている、ということだ。

エレベーターに乗っても、専用のキーがないと、行き先階のボタンすら押せない。

今日は兄がいるので、その貴広が専用キーを使用し最上階に向かう2人だ。
「相変わらず、ごついセキュリティですね。」
「お陰様で、大人気だ。情報、というのがいちばん価値が高いという事が分かっている会社に支持されているよ。まあ、間違いはないね。」

最上階に行くと、こじんまりはしているが、角部屋の個室を案内された。

席に着くと貴広に飲むか?と聞かれる。
「たまにはいいですね。」
と笑うと、兄は嬉しそうな顔になった。
「お前と飲むのは久しぶりだ。」
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