お見合いは未経験

「僕を食べさせてくれるんだよね？」
「あれは…、そう言ったら、貴志さんも迷わなくて、お好きなように進めるかと…」
やはりそうか。

「真奈、何かあっても大丈夫だよ。でも、その気持ちは本当に嬉しい。真奈が本当に家族になってくれる覚悟がすごく伝わった。ありがとう。」
「貴志さん。」

しかし、このマンション自体、僕の持ち物だとは言わない方がいいような気がするな。
正直、仕事などしなくても、保有している不動産収入だけで食べていける。

けれど、真奈の気持ちが嬉しくて、そんなことは瑣末なことだと思うのだ。
それよりも、貴志のために、と思ってくれる真奈の気持ちこそが尊いから。

「大好きだよ、真奈。」
「私もです。」

あの時、支社長に『いいお話し』と言われた時は、日本昔ばなしか!?と思ったものだったが、おしまい、が二人は幸せに暮らしました、なら、ホントにいいお話しだったな。

間違いなく、いいお話し、だ。

だって、自分は今、こんなに幸せな気持ちだから。